中学受験はいつから始め何をするべきか

今回は、中学受験を始めるタイミングと各学年でどのように勉強に取り組むべきかをお伝えします。

一般的に、中学受験は小学3年生の2月頃から始めるのが良いと言われています。なぜなら、中学受験に必要な知識を学ぶには約3年程度の月日が必要だからです。勿論個人差はございますし、受験科目数によってはかかる時間も違います。理科・社会だけであれば1年間でなんとかなるといった特殊な取り組み方も出来なくはありません。しかし、ここではあくまでも一般的な視点で中学受験についての開始時期や取り組み方をご紹介させていただきます。一般的な大手塾なども小学3年生の2月第二週頃からは本格的に授業が開始されます。途中から入塾することは遅れを取り戻す分難しかったり、場合によっては定員に達していて入塾できないといったこともあります。進級前の2月から塾の開始時期に合わせてスタートできるように、もう少し前から塾選びやご家族間での話し合いなどを重ねておくと良いでしょう。

ここでは、大手塾の四谷大塚、SAPIX、日能研のカリキュラムに触れながら説明させていただきます。

まずは、四谷大塚です。四谷大塚には「予習シリーズ」というオリジナル教材があり、一週間単位で綿密なスケジュールが組まれています。当塾ワンズでも「予習シリーズ」を基本教材として使用しております。2022年度の学習予定表によれば、4年生の第1回(一番最初の単元)は3年生2月の第2週から始まります。この週を起点として、6年生の2月まで予習と復習を繰り返しながら受験勉強を進めていきます。

続いて、日能研です。日能研では、小学校6年間の学習段階をステージⅠ~Ⅴの5段階に分けており、4年生はステージⅡにあたります。このステージⅡは系統学習が始まる時期です。つまり、国算理社それぞれで分野別の学習がスタートするということです。

最後はSAPIXです。SAPIXも4年生から系統学習が始まる点は同じですが、より分かり易くするために算数を例に内容をご紹介します。SAPIXの3年生算数の単元は「かけ算で考えよう」「積み木で遊ぼう」といったものであるのに対して、4年生の算数は「つるかめ算」「場合の数」といったように、より具体的な内容になります。

このように、大手三社はいずれも4年生から本格的な受験勉強を始めるというカリキュラムを取っています。その為、3年生までに基本的な「計算力と読解力」を身に付ける必要があります。その準備にどのくらいの時間がかかるかは個人差がありますが、「読み、書き、そろばん」という言葉があるように、読解力や計算力は早い内から身につけるに越したことはないでしょう。この準備がしっかり出来ている子ほど、後の受験勉強がスムーズな子が私の経験的にも多いように感じます。一方、受験勉強は長丁場ですので、早くから始め過ぎると子供によっては途中で息切れしてしまう可能性もあります。精神的にも成長段階の学年ですから、気持ちのコントロールが追いつかないような子も多いのが事実です。そういった場合には、周囲の子とは違うけれども受験勉強の開始時期を遅らせても対応可能な個別指導塾などを検討するのも良いかと思います。実際にワンズにお越しいただくお子さんの中にも、大手塾でのスタートダッシュに失敗してしまったお子さんや、大手塾のペースに付いていけず個別対応して欲しいという方のご要望も多いです。そういった対応が可能な塾が見つけられるようであれば、5年生から受験を初めて志望校に合格するという生徒も沢山いますので、子供の能力や状態に合わせて開始時期を決めることが大切です。

ここまで、中学受験の開始時期について解説してきましたが、ここからは各学年でどのように勉強に取り組むべきかをお伝えしたいと思います。受験は3年生の2月からといえど、「早くから始めた方が有利なのではないか」「合格率を上げるために何かしてあげたい」と思われる方は是非ご覧頂ければと思います。

まず、小学1・2年生の頃は、文字と数字に慣れさせる時期です。前者については、読書量を増やすことが最適です。初めは簡単な本や漫画でもかまいません。とにかく、「文字を読むこと」に対する抵抗感を無くすことが大切です。中学受験の国語では、多くの場合、文章読解が2問出ます。その際、文章を読むスピードが重要になるので、低学年のうちから文字に慣れておくと大きなアドバンテージになります。また、国語は塾の指導で成績を上げづらい科目です。なぜなら、「読解力」は本人の能力に依拠するところが大きいからです。特に、「筆者の考え」や「主人公の気持ち」を正確に読み取るには、それなりの経験が必要になります。過去に触れた文章の量がそのまま点数に影響するとも言えるでしょう。文章を読み取る力は全教科の基礎になるので、早めに対策しておくのが良いです。続いて、数字への慣れについてです。もちろん、計算練習をすることも大切ですが、日常生活の中で数字に触れる機会を創出できると良いです。例えば、お店で会計をする際におつりを計算させる、時計を使って予定を立てさせるなどです。これは単に計算力が上がるだけでなく、問題を解く際にイメージをしやすくなります。なぜなら、中学受験の算数は日常的な話題から出題されることがあるからです。大人にとっては常識でも子供にとっては未知の領域という事があるので、なるべく大人と同じ経験をさせてあげましょう。

小学3年生は「計算力と読解力」を定着させる時期です。教材を使った勉強を少しずつ初めても良いでしょう。また、それと同時に「両親の手伝いをする」ことも有効です。どういうことかといいますと、例えば、慶應義塾普通部の理科の過去問に「カレーライスの作り方」をテーマにした問題があります。そこでは、具材の煮込む順番やタマネギの根の生える位置、切断面の様子などが問われています。この問題を解くには、植物のつくり・植物の成長・熱などの知識を組み合わせた総合力が必要です。加えて、日常の観察力や考察力も要求されます。しかし、この問題の本質は「実際にタマネギを切ったことがあるか」「カレーを作ったことがあるか」を問うことではありません。「普段から両親の手伝いをしている子か」「教養を身に付けられる家庭環境にある子か」といった点が問われています。これらを身に付けるのは簡単なことではありません。ですから、普段から「なぜ?」「もし、こうなら?」と考える癖をつけてあげることが大切です。日頃のお手伝いを通して、一緒に考える機会を作っていきましょう。

小学4年生は、まとまった時間が取れる最後の年です。小学4年生の長期休みを有効活用しましょう。この年から理科・社会の勉強が本格的に始まります。理社は暗記科目と思われがちですが、実地学習を行うことでより理解を深めることが出来ます。例えば、理科なら、天体観測、メダカの飼育、川遊びなど。社会なら、京都・奈良の歴史的建造物の見学、北海道の気候と農業・牧畜業などです。実体験を経て得た学びは、より強く記憶に定着します。また、これらの経験を通して面白いと感じれば、その後の勉強のモチベーションになるでしょう。これらを行うには時間も費用もかかりますが、可能な限り子供に体験させてあげられると非常に効果的です。

ここまで、各学年でやるべきことを解説してきました。大切なのは、小学4年生までに「計算力・読解力」の下地を作っておくこと。そして、日頃から「なぜ?・どうして?」と自分の頭で考える習慣を持っておくことです。どちらも簡単ではありませんし、子供に寄って習熟速度も違います。いつから始めるかに絶対的な正解はありませんが、本文でお伝えしたことを参考に中学受験をご検討頂ければ幸いです。そして、そのお手伝いを当塾ワンズでさせていただけましたら、志望校合格に向けて全力でサポートさせていただきます。

今年も先日中学受験が終了しました。ワンズの生徒はしっかりと第一志望に合格し、4月を迎えることになります。